切明水路をさぐる
 
2004.7.29
 
 






1 用水路調べ,2年目に入る
 2002年度は文部科学省の研究助成を受け,鹿児島県内の主な川を遡って調べた。そして,2003年度は用水路の調査に走り回り,ホームページにその結果を永野駅跡から公開した。
 この夏も調べられていない町の用水路の調査に入った。一番に選んだのが薩摩町の永野である。右の写真のように今は廃線になったJR線の永野駅跡の向こうに川をはさんで田んぼが広がっていた。この川は穴川である。ここの上流に永野金山跡があり,金鉱跡の水が流れ込んでいる。そのせいで魚がいないとずいぶん前は言われていたものである。
 この下流に観音滝公園があり,川を堰きとめ流水プールがある。宮之城町佐志を通り,川内川へと流れ込む。穴川の柱宮之城町の佐志小学校に勤務していたのは,1987年から1993年までだから,その頃からすると,変わってきていることになる。
 
2 見つけることのむずかしさ
 どこに用水路があるのか探す。蛍が飛んでいて今まで見に行ったことのある所なら,水の取り入れ口もなんとか見つけることができる。しかし,ここはなにしろ初めてなので,あっちに行き,こっちに行きする内,やっと田圃の中に小川の堰用水路を見つけた。どこから流れてくるか調べようと行くと,小川にぶつかった。おりてみてびっくりした。この小川は道路の下から水は流れてくるのだが,その先がない。地下水路になっているようだ。堰きとめている所にはカワニナが40ひきほど数えられた。川に近カワニナづいていくと,砂岩が断層になっていてカワニナが観察できた。ここから穴川に流れ込んでいるので,穴川の水質に問題がなければ,カワニナが補充されていき,ホタルも生息できているのではないかと予想できる。確認できないまま先を調べることにした。


3 生き物がいない
 今までなら,取り入れ口まで歩いていき,そこから調べるのだが,辿り着くことができなかった。人家のある途中から報告する。
養魚場跡 左側が池跡である。今はもう何も育てていないとみえて,浮き草が池面を被っている。鯉でも育てている頃はカワニナも水路に多かったに違いない。その右のように穴川に余り水を流していた。岸には蒟蒻芋が大きく育っている。わたしの小さいころは,蒟蒻芋からいもを取った茎は道において馬車にひかれるといいと言うことで至る所に蒟蒻芋の茎が捨てられていたものだ。
 それから山の中を流れている。川幅30センチ,流速30cm/sである。流れが速いためか,カワニナはいないし,生物は見かけなかった。
切明橋のたもとへ 山の中を抜けると切明橋のたもとに出る。(左の写真)それから,下の写真のように穴川沿いに続いている。草はらいが長くしていないようで続いている様子が分からない。





穴川沿い 改めて先人のすごさを感じる。川との高低差は何メートルであろうか。あの高さから高い田んぼに水を引くためにずいぶんと上流を堰きとめてひいてくるのだから。苦労したことであろう。
 その先は,上の田んぼと下の田んぼに水を流すために,二つに分かれ(一番左の写真),畑の横を流れ(真ん中の写真),永野小学校の学習田などへと水を流していた。
 しかし,残念ながらこの水路にはカワニナはいなかった。





上と下へ畑のそばを永野小学習田