昨年の6月にふ化し始めてから,ずっとゲンジボタルの幼虫を飼育しています。ほとんどは放流をすませましたがあまりにも小さな幼虫がいることを不思議に思い,小さいのや中ぐらいなのを同じくらいの大きさに分けてどうしてこのような現象が起こるのか,有識者に教えを請いながら,考察を続けています。
毎日の観察記録 2月に入って放流後
2月21日 -11 +11,5 放流 放流 放流 -5 放流 上木田子ども会放流555
2月22日
2月23日 133 92 255 88 水温11℃ 殻多い 急に大きく
2月24日 144 206 135 193 1407 水温9℃ 殻多い 春なみの暖かさ
2月25日 161 水温14.5℃ カワニナ脱走目立つ
2月26日 94 ー94 水温15℃ 外稚貝多い 確保
2月27日 139 +2 132 放流 226 86 水温15℃ 外稚貝多い 隈姫へ
2月28日 155 229 -2 132 191 -43 +43 1333 水温12℃ 外稚貝多い 殻多い
3月1日 140 126 水温13℃ 外稚貝多い 殻多い
3月2日 132 215 水温12℃ 外稚貝多い 稚貝確保
3月3日 87 134 92 水温14℃ 牧園貝確保 
3月4日 153 +26 -26 193 1298 水温11℃ 小さいまま 
3月5日 138 124 水温13℃ 中大きい 
3月6日 104 133 213 水温15℃ F幼虫の抜け殻目立つ  
3月7日 134 89 -40 実験 水温14℃ G抜け殻2 箱黄色  
3月8日 153 192 1280 水温11℃ 抜け殻2 箱黄色   
3月9日 134 180 116 水温10℃ 抜け殻多い 箱黄色   
「幼虫に大小の差が大きくあらわれるのはなぜか。」と言うのにひっかかりました。
 2割ぐらいしか大きくならないで残りは「2年子」になり,また1年カワニナを食べて次の年に蛹になるというようにどの本もかいてあります。
 確かにわたしの所でも
   放流できる大きさに到達 463
   放流するにはあまりに小さすぎる 1511 (2月8日現在)   
   (ただし,2月中旬から特に食欲が出てきたので3月の上陸までに大きくなるのがいくらかでてきています。)
 6月22日ふ化してから ふ化合計5576
      今までの放流数 1573
       5576−1573=4003
    現在残っている幼虫数(2月15日) 1952 およそ 48.8%が育ったことになります。
放流できる幼虫率 463だから23.7%  残りが大きくならない。
   0.488×0.237=11.6% 成熟幼虫の割合       
 えさをとれないカワニナは,小さくて,エサをとれるのは大きくなると仮定すると,とれないのは育ちが悪いのは分かりますが,その数があまりに多いのです。進化の過程でわずか10%〜20%ぐらいしか大きくなれない道を選んできたのでしょうか。考えられるのは気候変動や水害などの自然災害があるので,次の年にも羽化できるように分散させる方法を考えて,全て大きくならない方法をとったのだろうということです。そうすると,分散されて毎年乱舞できるでしょう。どうも,一部を大きくし,一部を小さいままにする戦略があるようです。
ホタルが教えてくれたこと(矢島稔著・偕成社)   P132
 飼育すると、幼虫の成長速度にちがいができて、同じ日にふ化したのに体長がなぜ大小さまざまなのか、きっとホタルを研究している人は、みんなふしぎにおもっているにちがいありません。
 この成長のちがいが、ホタルの生存におおきな意味をもっているのではないかとわたしは推定しています。
 おそらく、ふ化してから1カ月くらいの短い間に、カワニナをどのくらい食べられたかによって、大小ができるとおもいます。すると、大きな幼虫は体力がそなわって、よち多く巻き貝を食べるようになり、脱皮ホルモンの分泌が高まって、はやく脱皮をくりかえすようになるでしょう。小さな幼虫は体力もないためホルモンの分泌もわずかで、成長速度はますますおそくなり、上陸するまでに2年もかかるにちがいありません。
中略
 大雨が降ったときには洪水になって、川は急に増水します。もちろん水中の幼虫も、しだいに流れがはやく、しかもつよくなるのは予知できるはずですから、どこかに避難するとおもいます。
 この場合、場所や状況にもよりますが、からだの大小がプラスになるか、マイナスになるかが問題になるにちがいないのです。
 中略
いいかえれば、からだのサイズがみんな同じだったら、全滅してしまうような洪水でも、大きさにちがいがあれば、どれかがいきのこる可能性があるわけです。
同じ種でも羽化までにばらつきがある     P57
       ホタル点滅の不思議ーー地球の軌跡ーー  横須賀自然・人文博物館
 ホタルの幼虫は巻き貝やミミズなどを主なものとし、いわゆる肉食性である。従って、常に餌が得られるという背景になく、餌不足などの事態が生じると成長ができなくなることが想定できる。こうした状況に適応するために、絶食に対して大成を持つに至ったと考えられる。
 ゲンジボタルの成長を調べてみると羽化するまでに1〜3年の幅がある。また、同一の母虫から生まれた幼虫であっても、1年生のものと2年生のものが生じる。この現象は、河川の氾濫や気象異常などに対しても危険分散を図る生活様式といえる。
 同じような現象はヒメボタルやクロマドボタルなどの幼虫においても認められる。
 また、ヘイケボタルでは寒冷地の北海道では羽化までに1年以上かかり、本州では1年以内で羽化することが多い。気温が低いと成長期間が短くなり、結果的に羽化までの期間が長くなり、かつバラツキを生じている。
そこで計算してみました。
生残個体数
 螢の羽化数 
   1年目 1割が羽化と仮定すると   0.1
   2年目のもの 9割の内 4割が生き残り その内の 1割が羽化 
       0.8×0.4×0.2= 0.009
   3年目 2年目に9割のうちの4割が生き残り, 3年目はその内の1割が生き残り そのうちの1割が羽化
       0.9×0.4×0.1×0.1= 0.0036
   0.1+0.009+0.0036=0.1126
               合計 0.1126
10匹のメスと仮定
           10× 500×0.1126= 563
      2年子,3年子の分 63は全体の11.2%にあたる
        大きな災害があっても少なくても11%はのこることができる。

    繁殖戦略のうち,危険分散戦略と考えられる。

3月に入り,食べられたカワニナに菌が観察されるようになってきた。 3月の2週目辺りから上のようにカワニナの脱皮殻が目立つようになり大きく成長するのもいる。

 ここまで整理してきて,今急に大きくなり始めたものがいるけれど,上陸するまでになるのか,上陸するのか,もう少し観察を続けなければいけないようです。
 これをごらんになった方,
  keiyudawai08@ml.j-bee.com
いろいろ教えてください。

10月中旬ごろの食べられたカワニナとホタルの幼虫の脱皮殻