9月16日15個目の川の調査に市来町を訪れた。串木野市側の方が河口に行けそうだと予想し進んだ。ところが,すぐには川に近付けない。照島小学校の子どもたちが稲を育てている田圃のそばを通り,なんとか川に出た。でも,海が
見えない。そこで,砂浜を歩くことにした。また一つ川がある。手前が八房川で,向こうが大里川である。釣りをしていらした人に話を聞くと,
「大きいのは八房川だが,大里川は支流ではない。河口部がせまいので,魚の遡上が少ない。」
とのことであった。岩を見てみると,巻
き貝があった。見ても見てもヤドカリばかりであった。この場所は汽水と言うより,海水の方が多いと言うことのようだ。
国道三号線に架かる橋の方を見る。曇っていたせいで山の方もはっきりはしなかったが、引き潮の中で上流から水を運んでいた。
舟が三艘つないである所を見てみると,波打ち際の辺りにヘナタリがたくさんいた。
地図では遠回りしないといけないとあったが,左岸の横の道を行こうとすると,斜めの降り口に気が付いた。藁葺きの家が目に付いた。鉄工所の会社が休憩用に
でもしているのだろう。その横から川に入った。上流に高速道路の橋脚の工事をしていた。その下で二人がなにかを取っている様子である。
あちらこちら歩く内に,一つカノコガイが目に留まった。いることはいるのだなと思いながら,軽石を持ち上げてびっくりした。軽石の下にたくさんついているのだ。右の写真のように小さいのがどの軽石にもたくさん着いていた。しかも,今まで
のカノコガイは黒っぽかったが,ここのは橙色や小豆色,緑色など6通りもあった。昼行性と夜行性といるのであろうか。ちょうどそこへ熊手のようなものを持って川に入られる方に出会ったので,上流の二人は何を採っているのか尋ねてみると,魚のえさをとってい
るのだそうだ。
左の写真は鉄橋の方を見たところだ。ちょうど列車が通って行った。大きいカノコガイは一つもいないので,色の違うものを採集して,上流へ向かう。
トラックが次から次へと通るところに次の橋である海瀬橋があった。海瀬橋を通って高速道の工事が行なわれているらしい。橋から流れを見ると,緩やかである。それが右の写真である。砂のところが見えるので行けないか探したが,階段があるだけで
あった。狭い階段を下りて,手探りで泥の中をかき回した。すると,カワニナが手に入ってきた。タケノコカワニナである。ほかに,小さいカノコガイがブロックの溝にたくさん着いていた。かきのからも見えるから,ここまでは海水が来ることが分かる。
次に出会った橋は川上橋である。おと年(平成12年)博物館の自然観察会に吉野小エコクラブの子どもたちと参加したところであった。可動堰の下や中州の所にカノコガイが多かった。
それに,タケノコカワニナも多い。河口からおよそ3.5Kmだから,汽水であってもおかしくはない。しかし,エビを捕っている大人の人がいたし,少ないながら,カワニナもいた。いままで回った川でタケノコカワニナ(?)とカワニナがいっしょに生息しているのを見たのは初めてで信じられなかった。(このカワニナについては今鹿児島にいる9種類のカワニナより違う固有種であると同定を急いでいる。)
セメントにカノコガイがたくさんついていた。ここら辺りになると,カノコガイも大きいのがいた。でも、平成15年5月3日にホタル見に行ったとき,川浚えがしてあって,環境が一変していた。カノコガイが列を作り,上流へと移動していた。あの八房カワニナとでも名付けられる固有種はここでは少なかった。
次に,上流に行く。先ほどの堰のために水がたくさん貯まっていた。流れは感じられなかった。「ふれあい橋」と命名されていることから
考えると,昔からある橋ではない。町民が憩いの場へ渡る橋である。その橋から川べりを見ると大きなカノコガイがたくさんついている。びっくりした。どうしても一つは標本として持って帰りたいから,左岸の森の中を進み,川岸に出ることができた。雨靴に水が入るところまで進まないとカノコガイをとることができないので,濡れるのを覚悟して水の中に入った。なんとかカノコガイが採れてよかったと思っていると,カワニナがいることに気がついた。手にとって驚いた。タケノコカワニナのようなのだ。ここは完全に淡水である。川上橋でもひょっとしたら違う種類ではないかと思ったぐらいのものであるから,タケノコカワニナがいると言うことは塩分が強い川であるのか,固有種ではないかなと思った。
次でも驚いた。写真でははっきりしないが,カワニナが腐食したようになっているのだ。指宿市の中島先生の話だと,海の貝は腐食したようにはならないが,川の貝はなるのだそうだ。しかも,ここのを見て歩いて更にびっくりした。80%ぐらいが腐食したようになっているのだ。
二枚貝もいる。死んでいるのもいたが,
水中の石の所にニセマツカサガイがたくさんいた。この貝に出会ったのも初めてであった。砂の所ではなく,石の上で何をしているのであろうか。ここから道路の方を見ると,川上小学校が見える。子どもの数が少なくなったのか,「山村留学」の呼びかけがある。
とても不思議な川だなあと思いながら,上流に向かう。上川上橋から見ると,二つ目の可動堰である。横に内門公民館があった。階段から堰の下に下りていった。カノコガイもいる。カワ
ニナも多い。ここのはあまり腐食したようにはなっていなかった。近くの店の人に,
「5月の頃はホタルは飛びませんか。」
と尋ねる。
「気がつきませんね。もっともあまりホタルを気にしていないからかもしれません。」
とのことであった。しかし,平成15年5月3日は驚いた。すごいといいようのないホタルの乱舞であった。ずっと,山手まで続いていた。
坂道を上り,下り坂になったところで彼岸花が目についた。木場地区らしい。花に惹かれるように近づくと,堰があった。あまり高くない堰だが,カノコガイも多く,カワニナも大小たくさんいた。親子連れの四人が水槽を持って川に来て,何か放していた。自然に帰しているのだろう。そして,彼岸花をとっていた。いい体験になったことだろう。

更に進み,ぐるりと回って石がたくさんある所が見えた。川で何かを採っている人も目に付く。そこで堰の所に行く。左岸と右岸にそれぞれ用水路が引かれていた。

上の写真の左が右岸側で,右が左岸側である。同じような作りなのに,カノコガイの生息に違いがあった。右岸は多いのに,左岸はほとんどいないのだ。褐藻がへばりついているせいなのかもしれないと思うことであった。カワニナは見つからなかった。
少し行くと,真っ直ぐに川を作り直したらしい所に橋があった。舟川橋である。橋の下には貝類がたくさんいる。何カワニナだろうとぐるりと遠回りして向こう岸の左岸に出る。すると,小さな支流の福ケ野川があるので入ってみる。緑っぽいカワニナが多い。(下の写真の右)しかも,本流との合流点にはカノコガイがいっぱいいる。ここまでは河口からおよそ7Km以上はあるが,カノコガイがいるとは姶良郡の別府川の支流山田川で見て以来である。
上流にダムがあるとのことなので,先へと急ぐ。細い道を通っていると,工事をしていると
ころに出た。新幹線の塩鶴トンネル工事をしている下らしい。木の階段があり,川に行くと,上流は淵になっていて,下流は堰になっ
ていた。カワニナはけっこういた。この地点には広野川という支流と合流している。それをのぼると,第一
舟川橋になる。それが,右の写真である。カワニナはそう多くはないが,生息していた。
ここから更に上流へと向かう。工事中の所を抜けると,田圃が広がっていた。
そこの橋が上舟川橋である。護岸がしっかりなされているので川には近付けない。橋から下を見ると,カワニナがいる。上流にダムがあることを考えると,ホタルが飛んでいても不思議ではない場所である。
どんなダムがあるのだろうと先を急ぐ。治水ダムとして作られたと説明されている。それが,次のぺージの写真である。ダムの水は少ない。これでは,下の川に水を供給できるのだろうか。上の写真では水が流れているので,水が少ないときは,横からでも水が流れるようになっているのだろう。
ダムからちょっと行ったところに下に向かって舗装された道路がある。何かあるのかもしれないとおりてみることにした。少し行って車が数台停められるような所から狭い道があった。行くと小さな橋である。そこから上流と下流を撮ったのが,下の写真である。根占町の雄川を遡ったとき見た光景と似ていた。カワニナはいなかった。
先に進もうと車を走らせる。ここまで市来町であったが,いつの間にか東市来町に入っていた。養母の上郷戸である。親水公園にしてあった。石がセメントで固められていた。10mぐらいずつ堰を作り横に魚道が造られていた。魚道の所に少しカワニナがいた。
この上流には江口川を見て帰るときたくさんのカワニナがいた所に出るはずだと郡元町をめざした。前田橋に行くと堰の下に何千ものカワニナがいた。何故,こんなに集まるのだろうか。枕崎市の花渡川の支流でも,堰の下だった。垂直になっていてのぼれないのかもしれない。
田圃の稲の手入れをされていた地元の方に声をかけ,ホタルがいるのか聞いてみた。左の写真のカーブのところが車のライトの影響が少なく乱舞しているのだそうである。
この八房川は貝類がたくさんいる川であった。もっともっと大事にしたい川である。





